四番隊の第四席になり卯ノ花隊長に気に入られたというのもあって、一部の隊長・副隊長さんとお会いする機会が多かった私。特に松本福隊長に気に入られ、恐れ多くも十番隊舎に遊びに行くことが多く、そこの隊長さんに恋をするのに時間はかからなかった。
そして、相手も同じ気持ちなのだと分かって早1年。私、只今人生最大の危機に瀕しております。

「あ、日番谷くん!」

いつものように休憩時間に遊びに行った十番隊舎。向こう側から雛森副隊長の声が聞こえてとっさに物陰に隠れた。霊圧だだ漏れできっと隠れた意味なんてないだろうけど。雛森副隊長は鬼道の達人だと聞くから。
日番谷隊長と話しているその笑顔はお花屋さんのどの花よりも可憐で、素敵で、その上強いなんて・・・ずるいなぁ。いいなぁ、副隊長。私も努力をすればなれるのだろうか。いや、今いる副隊長を抜かして副隊長になるだなんて万に一つも可能性はない。その前にまず三席にならねば。そうだ、目標は三席。目指せ三席。副隊長になるのを夢見るのはそれからだ。
・・・・・・・・・・・・にしてもかわいいなぁ、雛森副隊長。
かわいくて、強くてかっこよくて、もうほんとダメなところが見つからないくらい素敵な雛森副隊長には憧れてるし、大好きだ。さすがに面と向かっては言わないけど。言えないけど。
彼女は見た目もよくて、強さもあって、人望も厚くて、そんなにいっぱい私よりすごいものを持っていて、いつも、いつでも私の遥か上を行くのに、私が唯一勝っているものまで奪っていくのだろうか。いや、違う。私が勝手に思って嫉妬してるだけで雛森副隊長は何も悪くない。それなのに、・・・嫌な女だな私。
本当は、「日番谷隊長の彼女は私です」ってはっきり公言したい。が、生憎そんな勇気は持ち合わせていない。それも当たり前だ。隊長と四席じゃ格が違いすぎる。しかも、治療ばっかりの四番隊の、四席なのだから。戦闘が少しでも出来たのならまた違ったかもしれないが、残念ながら私の斬魄刀は何かを斬ることができないので・・・その可能性もない。本当に治療しか出来ないのだ。私は。
そんなだからいつまで経っても雛森隊長を追い抜くことはおろか、追いつくことさえも、近づくことさえも出来ないのだろうか。だから、きっと、本当は、私が勝っているものなんて最初から何もなかったのだ。日番谷隊長からの愛でさえも。
ああ、だめだ。考えたらどんどんもやもやしたものが大きくなる。いらいらする。むかつく。何にだかは分からないけど。
とにかく、楽しそうに話している二人を見ていられなくて、自隊舎に戻ろうと回れ右した。

「お前・・・何やってんだ」

少し呆れた声とともに私を見たのは――――

「日番谷・・・たい、ちょ」

さっきまで雛森副隊長と仲良さげに話してた、あの。
嘘だ、と思い後ろを振り返る。

「あれ、れ?」
「雛森との話なら終わった。お邪魔しちゃ悪いからーとかなんとか言って帰ってったぜ、アイツ」

あぁ、やっぱり。私がここにいたの気づいてたんだ。そりゃあ霊圧抑えてないんだから当たり前か。それに気づいてさりげなく去っていく雛森副隊長って・・・・・・素敵な人だ。

「で、お前は何してたんだ? ここでずっと」

またも自分の世界に入り始める私に日番谷隊長が話題を振る。隊長も私がいることにはもちろん気づいてたはずだから、多分それが一番聞きたかったんだと思う。でも答えるわけにはいかないし、答えたくない。だって、私のただの嫉妬だから。くだらない感情だから。

「内緒でーす。思われっぱなしの隊長には、分からないことがいっぱいあるんですよ」

周りに人がいないからこそできるあっかんべーを盛大にやって、この場から去ろうとする。傍から見たら物凄く性格の悪い女だろうな、私。でも、私がいくら隠しても、内緒にしても、日番谷隊長にはいつも分かってしまうみたい。

「はぁ・・・。お前またくだらねぇことばっか考えてんな」
「いいこと思いついたんですよ。だから私お花屋さんに行ってきます! この前まけてくれるって店員のお兄さんが言ってたし」

本当にいいこと思いついたの。隊長も私も、お互いのことはよく分かってるから口に出したりはしないけど、たまには形にした方がいいに決まってるよね。もっともっとお互いを理解しあえるように。

「すぐ帰ってこいよ。・・・松本がうるせぇから」
「分かってます。最近お茶してないですから」

むすっとした表情の隊長が私の頭をぽん、となでた。その台詞と行動の意味を私は分かってるから。とても嬉しいの。仕事で会えないことが多くて、物理的にも心理的にも距離を感じるけど、隊長は私の所に戻ってきてくれる。
でも、だからって、我慢ばっかりするわけじゃないから。単純で分かりやすい私は隊長に会えただけでさっきまでの真っ黒い気持ちなんて嘘のように消えてしまうけど、やっぱり嫉妬だってする。
隊長が悪いわけじゃないっていうのは分かってるから、これはいたずらと八つ当たり。
愛の証の素敵な花も、色が違うと意味も違うんだ、ってお花屋さんのお兄さんが教えてくれた知識なんですよ。










花言葉を知っていますか
(「うわ、隊長ぉなんですか、コレ。執務室が薔薇臭いんですけど」)
(「(・・・やっぱりこういうことか)」)
(「しかも黄色い薔薇って・・・」)


これも前に書いて放置されてたもの。だから何が書きたかったのかさっぱりです。意味分からん。
そして名前変換がないー。でも付けれそうなところもない(´`)
こんな感じで大丈夫なんだろうか・・・不安になってきたぞ。
100103 春日時雨