01.子ども扱いしてんじゃねぇよ
「こーすけー!」
俺を呼ぶ声がした。テレビに向けていた視線をその声の発信源である台所へ向ける。そこではが晩メシを皿に盛り付けていた。よし、今日はシチューか。
・・・なんだろう。親がいないからだろうか。これはまるで、
「新婚、みてぇ」
その呟きは聞こえなかったらしい。「これ運んじゃって!」と、はシチューの盛られた深皿を2つ差し出した。「おー」と適当に返事をし、ソファーに沈んでいた腰を上げそれらを取りに行く。出来立てでまだまだ温かい2つの皿を受け取るとまたが口を開いた。
「こーすけ、パンとごはんどっちがいい?」
「あー・・・じゃあ飯。は?」
「んー・・・あたしもごはんでいいや。パンじゃお腹に溜まらないもんね。消化しやすいし」
あはは、と女らしくなく豪快に笑うとは炊飯器の蓋を開けた。炊き立てのご飯の匂いと湯気が台所いっぱいに広がる。
「・・・炊いてんじゃん、米」
パンか米かと訊いておいて米が炊いてあるって、最初から米しか選択肢ねーじゃん。別に文句なんかねーけど。
「え? だって、こーすけ運動してるからやっぱごはんの方がいいかなと思って。でもシチューにはパンがいい!! って人いるじゃん? だからとりあえず訊いてみたの。ごはんは明日のお弁当に使えるし、ね?」
並より少なめにご飯が盛られたの茶碗と、山のようにご飯が盛られた俺の茶碗をテーブルに置きながらが微笑う。先のことを考えて行動し、そうやって笑うのをみるとやっぱり年上だ、なんて普段は全く感じない年の差を感じてしまう俺はまだまだガキなんだろうか。
俺がシチューの皿をテーブルに置いたのを見ると、「じゃあ食べよっか!」と目を輝かせる。自分で作ったメシなのに。そういうところは俺以上にガキっぽい、
シチューをスプーンですくって口に運ぼうとしたとき、が突然声を上げた。
「あっ!! シチュー、熱いからべろ火傷しないようにね!」
確かに俺はより4つも下だし頼りないところは数え切れないほどあるだろうけど、そんなにガキじゃない。目の前にあるシチューが熱いってことくらい、視界を邪魔する湯気を見れば言われなくても分かる。
「俺は、もう高校生だっつの!」
ガキ扱いすんなよ。
ムカついた勢いでスプーンを口に突っ込んだら、案の定火傷した。最悪だ。
それに気づいたのか気づいてないのか、がくすりと笑った気がした。
あー、むなくそわりぃ。
ずっと妄想してた泉と年上彼女のお話がやっと書けた(る)・・・!!
年の差って素敵ですよ。特に泉はね! 年の差とかさりげなく気にしてそうで。
あ、これは1話ごとは短めで10話完結です。徐々に2人のラブラブっていうかそんなところを書けたらいいな。
100211 春日時雨